抄録
頸部リンパ節腫脹の鑑別診断は多岐にわたり,各種検査で原因不明かつ悪性腫瘍が疑われる場合や,確定診断のために組織診断が必要な場合は,頸部リンパ節生検術が施行される。今回,頸部リンパ節生検術114例の後ろ向き解析を行った。最終診断の約半数が悪性リンパ腫であった。悪性疾患(悪性リンパ腫・転移性悪性腫瘍)で年齢が高く,30歳以上では悪性疾患の割合が高かった。中心壊死像は転移性悪性腫瘍で多く,sIL-2R値はWBC,CRP,LDH,Albと有意に相関し,3000U/mL以上では全例悪性リンパ腫であった。穿刺吸引細胞診class III以上では悪性疾患が多かったが,class I・IIの40%が,悪性リンパ腫であった。組織診断が必要な悪性リンパ腫が臨床的に疑われる場合はリンパ節生検術を積極的に検討すべきと考えるが,転移性悪性腫瘍の存在を考慮してその適応を決定する必要がある。