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假谷 伸, 小野田 友男, 岡野 光博, 西﨑 和則
2014 年24 巻1 号 p.
39-43
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
側頭骨は複雑な構造を持つため,その解剖を理解することは困難である。側頭骨解剖を学習するための教材として,一般的には二次元の情報媒体である書物やビデオ画像などが用いられるが,三次元の教材の方が解剖を立体的に理解しやすく,最も有効なのは側頭骨解剖実習であるとされている。しかし,解剖実習を行うことができる機会は限られているため,立体模型やシミュレータなど様々な方法が報告されている。今回,われわれはヒト側頭骨の臨床解剖を行い,体表から深部まで計22層の解剖を行った。それぞれの層を多視点3D撮影し,任意の時間に任意の部分を任意の方向から任意の倍率で各層の解剖を三次元立体視できるシステムを構築したので報告する。
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中山 次久, 山川 秀致, 常見 泰弘, 久保木 章仁, 後藤 一貴, 金谷 洋明, 春名 眞一
2014 年24 巻1 号 p.
45-49
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
術後性上顎囊胞に対して内視鏡下鼻内手術は,手術治療の第一選択となっているが,術後に閉塞を来たす症例も存在する。Endoscopic modified medial maxillectomy(EMMM)は,下鼻甲介を温存し鼻腔形態を保ちつつ上顎洞への広い視野が確保できる手術方法である。われわれは,2012年1月から12月まで17例20側の術後性上顎囊胞に対して内視鏡下鼻内手術を施行し,その内11側でEMMMを施行した。術後経過観察中に1例1側で再発を認めた。EMMMは鼻涙管の外側で前上方に存在する囊胞に対して有用であった。本術式は,鼻内手術の術後性上顎囊胞への適応をさらに拡大するものと考えられた。
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梶川 泰, 近野 哲史, 山田 誠二郎
2014 年24 巻1 号 p.
51-55
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
口腔底に発生する皮様囊腫(表皮様囊腫を含む)は本邦では萩崎らの分類(以下,萩崎分類)に従って舌下型,舌オトガイ下型とオトガイ下型の3つに分類されるのが一般的である。今回それぞれに属する口腔底皮様囊腫の治療機会を得たので報告した。萩崎分類はこれらの皮様囊腫の治療を考えるうえで非常に有効な臨床分類であるが,考察を進めていくとオトガイ下型と舌オトガイ下型の解釈に2つの問題があることに気づいた。それはオトガイ下型が解剖学上はオトガイ下にあり実は口腔底の囊胞でないことと,舌オトガイ下型は巨大ではあるが解剖学上は舌下型と同じものと考えられることである。このような問題を解消するため,われわれは萩崎分類の改編案をここで提案した。
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―予防的頸部郭清術の適応を中心に―
中野 宏, 辻川 敬裕, 新井 啓仁, 島田 剛敏, 久 育男
2014 年24 巻1 号 p.
57-61
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
舌癌治療においては頸部転移巣の制御が重要である。当科におけるstage I・II舌癌に対する予防的頸部郭清術の有用性について検討した。疾患特異的5年生存率,無再発5年生存率はstage Iではそれぞれ87.1%,74.3%であり,stage IIではそれぞれ83.4%,72.3%であった。全体の約1/3が再発し,再発例の半数が救済可能であった。予防的頸部郭清術非施行例では再発例が多くみられたが生存率には影響しなかったことから予防的頸部郭清術は必須ではないと考えられた。T1症例における原発巣再発が比較的多く見られ,安全域について再考の余地があると考えられた。分化度が低いほど再発率は高く,術後の追加治療も検討すべきであると考えられる。
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大門 康子, 末田 尚之, 杉山 喜一, 宮城 司道, 中川 尚志, 竹下 盛重
2014 年24 巻1 号 p.
63-68
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
Spindle cell carcinoma(sarcomatoid carcinoma)は扁平上皮癌成分と紡錘形細胞を主体とする肉腫様成分とが混在してみられる悪性腫瘍であり,扁平上皮癌の亜型として分類されている。今回,われわれは急速に進行したspindle cell carcinomaの1例を経験したので報告する。症例は58歳男性,急性心筋梗塞にて救急救命センターに搬送され,気管切開術が施行された。抜管後に呼吸困難が出現し,気管支鏡検査により喉頭声門下より気管内に腫瘍性病変が確認された。再気管切開術とともに腫瘍組織検査が施行され,病理組織検査からspindle cell carcinomaと診断された。約3週間後に手術を予定していたが局所の急速な増大とともにリンパ節および遠隔転移が進行し,手術不能と判断される状態になった。診断後2か月で死亡し,不幸な転帰となった。
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春日井 滋, 渡辺 昭司, 赤澤 吉弘, 三上 公志, 齋藤 善光, 肥塚 泉
2014 年24 巻1 号 p.
69-73
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
両側喉頭麻痺が生じた場合,呼吸困難,嗄声など様々な症状を引き起こし,緊急で気道確保が必要になることもある。過去10年間に当科を受診した喉頭麻痺症例405例のうち両側喉頭麻痺症例39例(9.6%)について麻痺の原因,治療経過を中心に検討をした。原因は術後性10例(心・血管系7例,甲状腺癌3例)と最も多く,特発性8例と続いた。原因として心・血管系手術後に多い傾向があり心臓外科医に啓発する必要がある。治療としては気管切開が18例に施行された。われわれは気管切開の適応を呼吸困難の程度や声門間隙の広さ,原因疾患を考慮して判断している。
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田浦 政彦, 安松 隆治, 藤 賢史, 山内 盛泰, 中島 寅彦, 小宗 静男
2014 年24 巻1 号 p.
75-81
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
当科で1996年1月から2009年12月までに一次治療を行った頭頸部腺様囊胞癌30症例(男性17例,女性13例)について検討した。初診時の年齢は24歳から78歳で平均52歳,中央値53歳であった。原発巣は唾液腺12例,鼻副鼻腔9例,中咽頭3例,外耳道2例,上咽頭1例,口腔1例,眼窩1例,気管1例であった。死因特異的累積5年生存率は74%であったが10年生存率は38%であり,長期間にわたり徐々に生存率の低下を認めた。30症例中25症例で根治的な治療を行う事が出来たが,25症例中16例に再発を認めた。16例の再発症例のうち9例を救済する事が出来た。再発時に救済できた症例(救済例)とできなかった症例(非救済例)を比較すると5年生存率が54%と21%であり有意な差を認めた。腺様囊胞癌の経過観察中に再発を認めた場合,積極的な治療を行う事により長期予後が改善する可能性が考えられた。
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成尾 一彦, 岡安 唯, 山中 敏彰, 細井 裕司
2014 年24 巻1 号 p.
83-88
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
フリー
未治療糖尿病(HbA1c(JDS)12.6%)を有し深頸部感染症から降下性壊死性縦隔炎に進展したが胸部外科など各科の協力により救命できた症例を経験した。喉頭内視鏡検査で喉頭蓋と咽頭後壁の腫脹を認め,CRP 60.2mg/dl,頸部CTでは右口蓋扁桃周囲から傍咽頭間隙,咽頭後間隙,縦隔に低吸収域を認めた。頸部ドレナージ,縦隔鏡ならびに胸腔鏡下に縦隔ドレナージを施行した。初回手術より7日後に再度頸部ドレナージと気管切開術を施行した。術後,バンコマイシンによる急性腎不全,急性心不全,薬剤性肝障害,clostridium difficile偽膜性大腸炎,肺炎,貧血,胸水貯留を併発したが,血液透析や輸血など懸命な治療を行い,初診より101病日に後遺症なく退院となった。
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杉山 智宣, 荒木 真美佳, 福喜多 晃平, 山田 弘之
2014 年24 巻1 号 p.
89-93
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
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甲状舌管癌は甲状舌管に発生した悪性腫瘍であるが,甲状舌管の遺残組織からの原発癌なのか,甲状腺癌からの転移かは,議論のあるところである。
症例は28歳女性,甲状舌管癌が疑われ,Sistrunk法にて腫瘍を摘出した。甲状腺には腫瘍を認めず,甲状腺を温存,甲状舌管の遺残組織原発と考えられた。
甲状舌管癌は甲状腺癌との合併が多いため甲状腺全摘術を同時に施行することを勧める報告もあるが,甲状腺内に腫瘍が認められた場合でも,穿刺吸引細胞診で陰性であった場合には,必ずしも甲状腺腫瘍は摘出する必要はないと考えられた。
また術前診断のために穿刺吸引細胞診,CT等により,術前診断の正診率を上げることが可能であると考えられた。
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南場 淳司, 阿部 尚央, 井上 卓, 武田 育子, 欠畑 誠治, 新川 秀一
2014 年24 巻1 号 p.
95-99
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
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唾液腺内視鏡手術では腺管開口部から内視鏡を挿入する過程が,手術を行う際に最も困難な手技と考えられる。今回われわれは内視鏡の挿入が容易になるシースダイレーターを開発した。シースダイレーターはシースと,シースの中に挿入されるダイレーターおよびガイドワイヤーで構成されている。合体した状態で腺管開口部にガイドワイヤー先端から挿入すると,円滑にダイレーター部,シース部まで挿入可能である。ダイレーターおよびガイドワイヤーを引き抜き,シース部を留置する。留置したシースの内腔に唾液腺内視鏡の先端を挿入して進めることで,容易に腺管内へアクセスすることが可能となり,唾液腺内視鏡手術に少なからず寄与できると考えられた。
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若杉 哲郎, 三箇 敏昭, 武永 芙美子, 増田 理佐, 喜瀬 祥啓, 鈴木 秀明
2014 年24 巻1 号 p.
101-107
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
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頸部リンパ節腫脹の鑑別診断は多岐にわたり,各種検査で原因不明かつ悪性腫瘍が疑われる場合や,確定診断のために組織診断が必要な場合は,頸部リンパ節生検術が施行される。今回,頸部リンパ節生検術114例の後ろ向き解析を行った。最終診断の約半数が悪性リンパ腫であった。悪性疾患(悪性リンパ腫・転移性悪性腫瘍)で年齢が高く,30歳以上では悪性疾患の割合が高かった。中心壊死像は転移性悪性腫瘍で多く,sIL-2R値はWBC,CRP,LDH,Albと有意に相関し,3000U/mL以上では全例悪性リンパ腫であった。穿刺吸引細胞診class III以上では悪性疾患が多かったが,class I・IIの40%が,悪性リンパ腫であった。組織診断が必要な悪性リンパ腫が臨床的に疑われる場合はリンパ節生検術を積極的に検討すべきと考えるが,転移性悪性腫瘍の存在を考慮してその適応を決定する必要がある。
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濱之上 泰裕, 横井 秀格, 川田 往嗣, 松本 祐磨, 中村 健大, 甲能 直幸
2014 年24 巻1 号 p.
109-113
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
ジャーナル
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症例は67歳,男性。統合失調症を患う息子に顔面を包丁で刺されたことによる顔面外傷にて,3次救急搬送となった。包丁は左頰部から上顎洞,鼻腔内を穿通し,対側の上顎洞にまで達していた。CT画像上,包丁は左顎動脈およびその分枝である下行咽頭動脈や蝶口蓋動脈を損傷している可能性があったため,摘出する前に鼻腔内からの止血が困難な状況に備えて,左頸部の外切開を行い,上甲状腺動脈の直上で外頸動脈の結紮の準備をした。しかし,鼻腔内でガーゼによる圧迫止血にて包丁は抜去できた。本症例では奇跡的にも重大な血管や神経の損傷を認めず,軽快した。われわれは本症例の臨床像,治療経過を文献的考察を加え,報告する。
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高橋 一広, 小林 謙也, 小村 豪, 齊藤 祐毅, 蝦原 康宏, 朝蔭 孝宏, 山岨 達也
2014 年24 巻1 号 p.
115-121
発行日: 2014年
公開日: 2014/09/10
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Solitary fibrous tumor(SFT)は線維芽細胞類似の紡錘形細胞が膠原線維を伴い増生する比較的まれな間葉系腫瘍で,胸腔内に発生し胸膜由来のものが多い。症例1は79歳女性。気管右側の25mmの腫瘤を摘出しSFTと診断された。症例2は33歳女性。左鼻腔内より生じたSFTに対して歯齦部切開にて腫瘍を切除した。症例3は47歳男性。右下頸部の80mm大の頸部腫瘍を摘出しSFTと診断された。症例4は63歳女性。9歳時より再発を繰り返すSFTが下顎に転移したため,下顎区域切除施行し腫瘍を摘出した。病理組織学的には4例とも紡錘形細胞がpatternless patternをとって密に増生し,CD34(+),Vimentin(+)とsolitary fibrous tumorに矛盾しなかった。症例4では2年後に腰椎転移を認めたが,他の症例については再発を認めなかった。
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