抄録
内耳瘻孔を伴う真珠腫性中耳炎の手術は難聴が悪化する可能性があり,一側聴耳の手術では特に注意が必要である。対側に重度難聴があり術前CTでは瘻孔の存在が明らかでなかったが,めまいや瘻孔症状から内耳瘻孔を予測して手術を行った。canal wall downを行い,母膜も含めて真珠腫を全摘出した。一年以上経過しているが再発なく,聴力を改善できた症例を報告した。
北里大学病院耳鼻咽喉科で手術した真珠腫性中耳炎の中で内耳瘻孔を認めた症例を参考に,骨導の変化に影響を与える因子を検討した。その上で一側聴耳に対する手術上の注意点を考察した。