咽頭後間隙血腫は比較的まれな疾患と考えられており,発症すれば上気道閉塞により呼吸困難をきたす可能性があるため,迅速な対応が必要である。今回われわれは,咽頭後間隙血腫の2例を経験した。症例1は74歳女性。夜間にベットから転倒した後,頸部腫脹,呼吸困難が出現し,当科紹介となった。症例2は44歳男性。ペインクリニックで星状神経節ブロックを施行後,呼吸困難,咽頭痛を認め,当科紹介となった。両症例とも気管切開術にて気道確保した後に,咽頭後間隙血腫に対して血腫除去術を行い良好な経過を得た。その臨床経過を述べ,文献的考察を加えて報告する。