抄録
頭頸部癌に対する化学放射線療法は標準治療としてのエビデンスが報告されている。併用する化学療法はCDDP単独併用が標準となっている。近年JCOG頭頸部がんグループが組織され,標準的レジメンの開発を目的に臨床試験が開始されている。そこでは術後化学放射線療法のJCOG1008と上顎洞癌に対する超選択的動注化学放射線療法であるJCOG1212が施行されている。一方,化学放射線療法の問題点としては化学放射線療法の強い毒性のために不十分な治療となる場合や,晩期毒性によって根治治療に成功しても長期生存に結びつかないことが報告されている。今後は,分子標的薬であるセツキシマブの併用など薬物療法の工夫によりさらに化学放射線療法の長期成績向上が期待される。