抄録
メニエール病の本態は内リンパ水腫であるが,真の病因は不明である。われわれは,保存的治療ではめまい発作の制御が困難であるメニエール病患者に対し,鼓膜換気チューブ (以下チューブ) 留置術を施行している。今回2年以上長期の経過観察が可能であった2症例について報告した。2症例ともチューブ留置後めまいは消失した。チューブ脱落後めまいが再燃したが,再留置後めまいは再び消失した。チューブの有用性についてはまだ不明の点も多いが,メニエール病のめまい発作に苦しむ患者にとって,チューブ留置は保存的治療と侵襲的治療の間を埋める一つの選択肢として有用な外科的治療と思われた。