抄録
2001年5月1日から2013年4月31日までに当科で一次根治治療を行った耳下腺癌29例を対象に臨床的検討を行った。性別は男性が19例,女性が10例であり,年齢は16歳から79歳 (中央値63歳) であった。T分類はT1/T2//T3/T4aが3/6/9/11例,N分類はN0/N1/N2a/N2b/N2cが16/0/0/11/2例,病期はStage I / II / III / IV Aが3/5/5/16例であった。病理組織型では唾液腺導管癌が7例と最多であった。単変量解析での予後不良因子はT4・Stage IV ・術前顔面神経麻痺あり・最大腫瘍径4cm以上・局所切除断端陽性の5つであったが,多変量解析の結果では局所切除断端陽性のみであった。予後向上のためには局所の完全切除が最も重要であり,今後は術中超音波検査の導入なども検討すべきかと思われた。