抄録
上咽頭癌の局所再発時には,重要臓器に近接した複雑な解剖を有することから治療に難渋することが多い。今回われわれは経口蓋切除を2症例に施行し,良好な結果を得たので報告する。
症例1は73歳女性,症例2は54歳男性の共に化学放射線療法後の後上壁型rT1症例であり,軟口蓋を正中離断して腫瘍を切除した。内視鏡の併用により良好な視野が得られた。症例2で軟口蓋小瘻孔が残存した以外に明らかな合併症は認めず,症例1は術後45か月間,症例2は20か月間経過した時点で局所無再発である。
内視鏡補助下経口蓋法は,上咽頭癌の限局性再発例に対して,低侵襲に到達し良好な視野で切除することができる簡便な治療選択肢の一つであると考えられた。