抄録
バセドウ病に対して使用されたチアマゾールにより無顆粒球症を生じ,併発した急性喉頭蓋炎と深頸部膿瘍により気道確保と頸部外切開による排膿を要した症例を経験したので報告する。
急性喉頭蓋炎に対しては,喉頭内視鏡をガイドとした気管挿管にて気道確保を行った。同手技は外科的気道確保を避けたい症例において有用と考えられた。深頸部膿瘍は好中球数が上昇した後に確認され,無顆粒球症症例では通常とは異なる時期の膿瘍形成に留意する必要があった。
治療経過では肺塞栓症を併発し,バセドウ病に対しては甲状腺全摘術を行った。