抄録
外耳道腺様囊胞癌はまれな疾患である。1997年から2014年に治療を行った外耳道腺様囊胞癌5例の検討を行った。自覚症状は耳痛が最も多く認められた。進行度分類はT1:3例,T2:1例,T4:1例であった。早期症例では側頭骨外側切除術を行い,T4症例に対しては側頭骨亜全摘術および術後照射を行った。全例で原発巣再発は認めていないが,T4症例は肺転移により原病死している(経過観察期間:15~210か月:平均102.4か月)。治療は一塊切除術による手術治療と適切な術後照射が標準となる。早期診断が重要であり,持続性の耳痛を認める場合には常に悪性腫瘍の可能性を念頭におく必要があると考える。