抄録
鼻副鼻腔内反性乳頭腫(IP)は良性腫瘍であるが,約10%に癌を合併すると報告されている。しかしIPに合併する悪性腫瘍の存在を,術前から推察することは困難なことが多い。本稿では,手術標本で初めて扁平上皮癌の合併を確認し,治療に難渋したIPの3症例について検討した。全例Krouse分類T4症例で,骨破壊像を認めた。また,IPに特徴的なMRI所見である脳回様パターン(CCP)を消失したIPは悪性腫瘍の合併が高いと言われ,今回の3症例でもCCPの欠失が存在した。CTにおける骨破壊像やMRIでのCCPの欠損などの画像上の特徴的所見から癌の合併を疑い,生検部位や治療方針の確定が可能になると考えられた。