2017 年 26 巻 3 号 p. 419-423
症例は58歳男性。半年ほど前より右鼻閉と頻回の鼻出血を主訴に前医受診。右鼻腔内に出血を伴う壊死性腫瘍を認め,生検の結果adenocarcinomaの診断であった。造影CTでは右篩骨洞を中心に造影効果を有する腫瘤性病変を認め,前頭蓋底,右眼窩内側壁への浸潤が疑われた。またMRI検査ではT1強調像で造影効果を受ける低信号と高信号の混在する腫瘍を認めた。
まずシスプラチン,フルオロウラシル,ロイコボリンを用いた導入化学療法を施行した後,脳神経外科と形成外科と合同で頭蓋底手術を施行した。術後病理学的所見ではBarnesの分類でpapillary-typeの診断であり腫瘍断端は陰性であった。術後照射として放射線外照射を計50Gy施行し,術後半年経過した現在無再発生存中である。