抄録
口蓋に発生した小唾液腺腫瘍を4例報告する。
症例1は35歳の男性で,主訴は口腔内の腫瘤であった。経口的に摘出し,病理は多型腺腫であった。症例2は36歳の女性で,症例1同様に経口的に摘出し,病理は多型腺腫であった。症例3は75歳の女性で,経口的に摘出たところ腺様囊胞癌の診断で,術後照射を行った。症例4は75歳の男性で,術前に粘表皮癌,肺転移の診断であったが,終末期のQOL等も考慮し摘出術を行った。術後約1年で原病死となった。
耳鼻咽喉科医は小唾液腺腫瘍を経験することは少ないが,大唾液腺に比べると悪性腫瘍の確率が高く,臨床所見と画像所見と組織診断により総合的に診断する必要がある。