抄録
紡錘細胞癌は紡錘形細胞を主体とし,肉腫様変化を示す高悪性度の癌である。扁平上皮癌の亜型とされ,下咽頭原発の紡錘細胞癌はまれである。症例は76歳男性。初診時1か月半前より咽頭違和感があり,近医を受診し,下咽頭腫瘍の疑いで当科に紹介された。下咽頭後壁から有茎性の腫瘤を認め,内視鏡下に生検を施行し,下咽頭血管肉腫の疑いであった。FK-WOリトラクターで病変を観察した後に,下咽頭・喉頭全摘出術,両側頸部郭清術,遊離空腸による再建術を施行した。永久病理診断は紡錘細胞癌pT2N0であった。本症例につき若干の文献を加え報告する。