頭頸部外科
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27 巻, 2 号
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シンポジウム2
プロに学ぶ合併症への対応
  • 吉本 世一
    2017 年27 巻2 号 p. 141-144
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌に対する拡大切除の際に遊離皮弁が頻用されて久しいが,どの施設からも皮弁壊死が皆無になったという報告はない。血栓が生じた皮弁を救済するためには,血色変化の早期発見,開創による確認,迅速な血管再吻合の全てが不可欠である。特に最初の血色変化を早期発見するためには,医療スタッフ間での十分な情報共有が望まれる。皮弁救済が不可能になった際には,咽喉食摘後は遊離空腸再移植を原則とする。咽喉食摘後以外では,QOL低下も許容できるなら可及的にシンプルな再建を行い,良い吻合血管がない場合には有茎皮弁も検討する。創部の条件が悪化する前に適切な再手術を行うためにも,やはり早期発見・早期対応が重要と言える。
パネルディスカッション
(男女共同参画企画)私の手術修練とキャリアパス
  • ~嚥下障害診療を通して~ 嚥下障害と「とろみ」
    上羽 瑠美
    2017 年27 巻2 号 p. 145-150
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    嚥下障害診療に取り組むにあたり,私が意識していることは「広く見る,先を読む,前を向く」である。障害だけでなく全身・全体を評価し,治療後の状況を想定し,可能な治療方針を考えている。嚥下機能に障害があると,摂食の楽しさが失われるだけでなく,嚥下障害による栄養障害や肺炎など全身的な問題が引き金となり,「治す気力」を低下させる。誤嚥の危険を減らし経口摂取を継続するための対策のひとつに,水分に粘性を付加させること(とろみを付けること)が挙げられる。本稿では,とろみ調整食品の特徴や使用方法,とろみによる嚥下への効果,医療現場のとろみ付加の実情など,「とろみ」に関する私の研究結果を中心に述べる。
  • 森田 由香
    2017 年27 巻2 号 p. 151-153
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    女性医師がライフスタイルの変化にあわせて,技術を学び取得し,維持していくのはそれなりに困難であり,当科に限らず外科系女性医師の悩みである。筆者の経験を振り返ると,手術習得にはいくつかのポイントがあった。①本気で手術をみる,②手術所見とイメージトレーニングを大切にする,③時間を大切にする,④仲間を大切にすることにより,3度のブランクの分は十分に取り戻すことができたと思っている。家事,育児が忙しくとも,医師としての仕事に携わっていくことがキャリア形成に重要である。これから習得する先生方には,ぜひ目を肥やし,腕を磨いて,耳鼻咽喉科専門医としてのキャリアを継続していただきたい。
  • ~与えられしチャンスを活かすべし~
    森 恵莉
    2017 年27 巻2 号 p. 155-160
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    女性医師や新臨床研修制度で教育されてきた医師の存在が増えるにつれ,大学病院や一般病院のあり方が問われ続けている。その中で耳鼻咽喉科領域は多岐に渡り,キャリアアップできるチャンスは多くある。どんな形であれ,チャレンジし続けるものが存在し,誰かに必要とされ,自分の才能を発揮できる舞台で活躍できることはやりがいもあり,ありがたいことである。研修医のみならず,医師業務の負担軽減を含めた医師就労体制の見直しと充実に向けた各施設や学会の機能強化は急務であるが,外科系の道を志した医師には,男女関係なくある程度の自己犠牲を払う覚悟が必要である。
  • 平松 真理子, 藤本 保志, 西尾 直樹, 曾根 三千彦
    2017 年27 巻2 号 p. 161-163
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部がん診療は,長時間の手術や緊急手術なども多く,妊娠・出産を考える女性医師にとってはハードルが高い分野でもある。筆者は妊娠出産を経験し2児の母として,現在頭頸部がん診療を専門としてフルタイム勤務をしている。当院では複数主治医担当医制度を導入し,カンファレンスにて症例を共有しチーム全体が患者全員を把握している。
    主治医として担当した手術時間を産前(2007~2010年),産後(2012~2015年)に分け比較検討した。総手術件数は産前390件,産後278件であり,再建手術は21%(80件)から11%(31件)に減少し,4時間以内の手術の割合が69%(269件)から82%(228件)と増加した。
    ロールモデルもモチベーションを維持する大切なものである。周りの上司や同僚への感謝の気持ちの大切さを感じており,他の医師への負担の軽減なくしては継続的な取り組みはできないと考える。
手術手技セミナー3
手術手技セミナー5
  • 飯田 拓也, 光嶋 勲
    2017 年27 巻2 号 p. 169-172
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    形成外科はPlastic and Reconstructive Surgeryと表記されるように,形成外科領域と再建外科領域に分けられる。当初は形成外科領域が中心であったが,その後皮弁移植技術の発達により再建外科領域の役割が拡大した。特に他領域(頭頸部,四肢,腹腔内臓器など)と合同で手術を行うことが増えており,当院では,耳鼻咽喉科,脳外科,眼科,口腔外科,食道外科,乳腺外科,肝胆膵外科,整形外科,皮膚科など多くの外科系診療科と合同手術を行っている。形成外科的な技術を頭頸部外科領域に応用することで,切除不能であった腫瘍が安全に切除でき,また機能的,整容的によい結果が得られると考えられる。本稿では,頭頸部外科領域における形成外科的手技の応用と最近の進歩について述べる。
原著
  • 濱口 宣子, 石永 一, 中村 哲, 竹内 万彦
    2017 年27 巻2 号 p. 173-178
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    上咽頭は解剖学的に手術加療が困難であり,化学放射線療法が治療の主体となっている。今回は,2001年1月から2015年12月までの15年間に当科で化学放射線療法(交替療法もしくは化学放射線併用療法)を施行した28例の上咽頭癌症例を対象にretrospectiveに検討を行った。治療効果,治療成績・生存率,治療完遂率,有害事象,予後因子などの項目に対して分析が行われ,交替療法を行った症例では5年粗生存率は62%であり疾患特異的5年生存率は73%であった。今回の検討では上咽頭癌の治療成績に寄与する独立した予後因子は認めなかった。上咽頭癌の治療において,交替療法は良好な生存率を認め,有効な治療法であると思われた。
  • 富樫 孝文, 岩井 玄樹, 山岸 達矢, 橋本 茂久, 堀井 新
    2017 年27 巻2 号 p. 179-185
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    頸部壊死性筋膜炎は疎な結合織である浅頸筋膜に沿って急速に感染,壊死が進行する疾患である。症例は50歳男性。当初両側扁桃周囲膿瘍と上頸部の蜂窩織炎と診断し抗菌薬治療を行ったが,レミエール症候群も併発したため第5病日に手術を行い,術中所見から頸部壊死性筋膜炎と診断し,デブリードマンと気管切開を行った。4回の手術,陰圧閉鎖療法,初回術後早期から嚥下・頸部運動リハビリを行った。壊死性筋膜炎の早期診断には,積極的にこの疾患を疑い,壊死を起こした組織を見極め,瘢痕・拘縮が生じる前の術後早期からリハビリを組み合わせることで嚥下障害や頸部運動制限の後遺症を軽減することが重要である。
  • 福家 智仁, 山田 弘之, 福喜多 晃平, 金児 真美佳, 澤 允洋, 上田 航毅, 小林 大介
    2017 年27 巻2 号 p. 187-191
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    反回神経に浸潤した甲状腺乳頭癌症例では,神経を合併切除しても即時再建することで音声機能は良好に保たれる。今回,反回神経即時再建を行った甲状腺乳頭癌症例41例の予後について検討した。術後音声評価を行った症例の最長発声持続時間,聴覚心理的評価はいずれも良好であった。反回神経単独浸潤群は,複数臓器浸潤群に比べ,再発・転移率は少なかった。反回神経へ浸潤した乳頭癌はT4aの進展度分類に相当するが,気管や食道への浸潤に比べ,良好な予後が期待できる。反回神経を積極的に即時再建することで,根治を目指すと同時に音声機能の温存に努めるべきである。
  • 濱口 宣子, 石永 一, 千代延 和貴, 中村 哲, 竹内 万彦
    2017 年27 巻2 号 p. 193-198
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    腸管内気腫症とは消化管の粘膜や漿膜下に多数の含気性小囊胞を生じ,重篤化すると不可逆的な転機をたどるまれな疾患である。症例は72歳の男性で,左頰部痛を主訴に当科を受診した。精査にて左上顎癌と診断され,手術を施行した。術後11日目に下痢および急性腎不全,高炎症反応を認めた。腹部CTにて腸管気腫症および門脈ガス血症を指摘され保存的治療を開始した。治療は奏功し,治療開始12日目には経口摂取が可能となった。その後は症状の再燃は認めず,経過良好にて術後48日目に退院となった。腸管気腫症が周術期に発生する頻度は高くないが,重症化する合併症の1つとして念頭に置く必要がある。
  • 荒木 直人, 鈴木 豊, 野田 大介, 岡崎 雅, 松井 祐興, 中島 小百合
    2017 年27 巻2 号 p. 199-203
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    紡錘細胞癌は紡錘形細胞を主体とし,肉腫様変化を示す高悪性度の癌である。扁平上皮癌の亜型とされ,下咽頭原発の紡錘細胞癌はまれである。症例は76歳男性。初診時1か月半前より咽頭違和感があり,近医を受診し,下咽頭腫瘍の疑いで当科に紹介された。下咽頭後壁から有茎性の腫瘤を認め,内視鏡下に生検を施行し,下咽頭血管肉腫の疑いであった。FK-WOリトラクターで病変を観察した後に,下咽頭・喉頭全摘出術,両側頸部郭清術,遊離空腸による再建術を施行した。永久病理診断は紡錘細胞癌pT2N0であった。本症例につき若干の文献を加え報告する。
  • 岩永 健, 袴田 桂, 鈴木 克佳, 新井 宏幸
    2017 年27 巻2 号 p. 205-210
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    事故により鼻腔内に入った融解金属が冷却され鋳型状となり,異物化し摘出が困難となった鼻腔異物の症例を経験した。症例は42歳男性で,アルミニウムの融解作業中に溶解物が飛散し,全身に高温の溶解物を浴びたため全身熱傷の診断で同日当院へ救急搬送された。来院時には融解金属により全身の熱傷を認め,鼻腔と口腔にアルミニウムと思われる金属片を認めたが摘出困難で,CTでは金属片は鼻腔内に鋳型状に存在していることが確認出来た。第20病日に全身麻酔下で両側鼻内異物摘出術を施行し,異物摘出後の鼻腔内は鼻中隔の穿孔と右下甲介の壊死を認め,術後に壊死脱落が進行した。同様の症例は過去に数件散在されるが非常にまれな症例である。
  • 嶋根 俊和, 池田 賢一郎, 櫛橋 幸民, 江川 峻哉, 池谷 洋一, 北嶋 達也, 田中 義人, 平野 康次郎
    2017 年27 巻2 号 p. 211-215
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    頸部神経鞘腫の摘出では,術後の神経脱落症状を回避するために様々な工夫が行われている。われわれは橋本の推奨した被膜間摘出術を積極的に施行し,腫瘍の摘出では由来神経とその走行の確認,腫瘍被膜の確認が重要であることを報告してきた。多くの症例を経験すると腕神経叢,副神経,迷走神経,顔面神経由来の腫瘍では神経刺激器を用いることで細かな神経の走行が確認できるが,由来神経が交感神経などの腫瘍では,神経刺激器を用いても神経上膜で神経の走行確認が困難な場合も経験する。今回われわれは,Narrow Band Imaging(以下NBI)を応用することで腫瘍上での神経の走行,神経上膜の切開部位の決定,腫瘍被膜の確認に有効かどうかを検討したので報告する。
    結果として,NBIは線維組織が明瞭に描出され神経上膜上の切開部位の決定,腫瘍被膜の同定に有効であった。神経刺激器が無効な交感神経鞘腫だけではなく,有効な神経鞘腫でも有効であった。剥離面を決定する腫瘍被膜の確認では,手術経験が少ない術者でも容易に確認でき神経脱落症状の減少に役立てられると考えられた。
  • 戎本 浩史, 大上 研二, 槇 大輔
    2017 年27 巻2 号 p. 217-221
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    TOVSでは鉗子類や内視鏡の限られた術野での操作が求められる。機械の干渉は手術操作の妨げとなり,不十分な止血は術野の視認を妨げるため,円滑な手術操作のために新規デバイスの導入は不可欠である。今回われわれは,新たにSTEINER把持鉗子と薄型マリアブルバイポーラ鑷子を導入した。
    STEINER把持鉗子は十分な把持力を持ちつつ取り回しが良好で,内視鏡との干渉が少ない。薄型マリアブルバイポーラ鑷子は十分な有効長と上下方向への可鍛性を持ち,出血部位を確実に焼灼できる。いずれも良好な手術環境の構築に有用と考えられた。
  • 岡本 伊作, 塚原 清彰, 佐藤 宏樹, 本橋 玲, 近藤 貴仁, 岡田 拓朗, 清水 顕
    2017 年27 巻2 号 p. 223-229
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌に対する手術の中で,最も重要な術式の一つに頸部郭清術があげられる。では,どのようにこの頸部郭清術を中心とした頭頸部癌に対する手術手技を,安全かつ効率よくトレーニングしていけばよいのかに関しては明確な指標はなく,施設によって異なっている。
    われわれの施設では,ドライラボで十分にトレーニングを行った初期・後期研修医,若手医師を対象に,cadaverやアニマルラボを用いた手術トレーニングを行っている。
    しかし,頭頸部領域でアニマルラボトレーニングを行っている報告はない。今回は,過去に施行したアニマルラボトレーニングにおいて,トレーニングの前と後で参加者による自己習熟度評価と,指導医による習熟度評価について検証した。それにより,頭頸部領域におけるアニマルラボトレーニングの有効性を検討した。
    アニマルラボとレーニングは手技の向上に関して有意に有効な結果であった。技術の向上は医療安全の観点からも非常に有用となると推察された。
  • 竹下 直宏, 須田 稔士, 西谷 友樹雄, 結束 寿, 濱 孝憲, 小島 博己
    2017 年27 巻2 号 p. 231-234
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    下咽頭梨状陥凹瘻は,先天性瘻管であり左側に多く見られ感染などを契機に診断される。今回われわれは彎曲型喉頭鏡,アトムチューブ®を用い瘻管同定を行い,摘出術を施行した。
    症例は27歳女性。幼少期より左側頸部腫脹・切開排膿を繰り返しており,下咽頭食道造影,CTにて,下咽頭梨状陥凹瘻と診断された。全身麻酔下にて瘻管および左側甲状腺部分切除術を施行した。彎曲型喉頭鏡を喉頭蓋舌根面にかけ,瘻孔にアトムチューブ®4Frを挿入しピオクタニン色素を注入した。その後,頸部外切開に移り,甲状腺上極裏面にピオクタニンで染色された瘻管を鮮明に同定でき結紮切断し摘出した。術後半年以上経過しているが,現在再発なく経過している。
  • ―ATAガイドラインとの比較―
    花川 浩之, 門田 伸也, 橋本 香里, 岡 愛子
    2017 年27 巻2 号 p. 235-239
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    2015年米国甲状腺学会(ATA)ガイドライン改訂に伴い,当院における甲状腺髄様癌(MTC)治療との比較を行った。
    2000年~2016年の間に当院で診断・治療されたMTCは5例(男性2名,女性3名)で,3例が術前細胞診でMTCを疑われた。RET遺伝子検査は1例術前,3例術後に施行し,散発性3例,MEN2A1例であった(1例拒否)。
    MTCを疑う場合,ATAガイドラインでは全摘術を推奨している。一方術後にMTCと判明した散発性症例に関して,補完全摘は必ずしも推奨されない。当院では散発性2例に非全摘術を施行し,追加治療は施行していない。
    今後の方針として,術前遺伝学的検査の徹底をすること,治療は甲状腺全摘術を原則(症例により非全摘も考慮)とすることを確認した。
症例
  • 千代延 和貴, 大津 和弥, 石永 一, 竹内 万彦
    2017 年27 巻2 号 p. 241-246
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性。血液透析中に,突然,呼吸困難と咽頭粘膜下出血を呈した。慢性腎不全に対して,過去6年間血液透析を受けており,二次性副甲状腺機能亢進症を合併していた。受診時に気道狭窄を認めていたため,経口挿管により気道確保をした上で,緊急気管切開を施行した。CTでは,左下副甲状腺からの出血が示唆され,保存的加療を行ったが,血腫の改善がなかったため,腫大副甲状腺の摘出および血腫除去を施行した。病理結果では,副甲状腺の過形成が認められた。患者は二次性副甲状腺機能亢進症に対して,シナカルセトが投与されており,それにより副甲状腺出血を来した可能性が考えられた。その後の経過で,左精巣および肺に転移病変が出現し,副甲状腺癌であることが判明した。
  • 岸川 正大, 大野 十央, 末松 由愛, 岡田 隆平, 朝蔭 孝宏
    2017 年27 巻2 号 p. 247-252
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
    オンコサイトーマは,唾液腺,腎,甲状腺などの様々な部位に発生する,まれな上皮性良性腫瘍である。本稿では,術後の病理組織学的検査で診断のついた,耳下腺に発生したオンコサイトーマを2症例報告する。
    一般的に,術前でのオンコサイトーマと他の唾液腺腫瘍との鑑別は容易ではなく,特にワルチン腫瘍との鑑別は困難で,穿刺吸引細胞診の誤りは十分にあり得るため,診断には注意を要する。両症例とも現在までに術後の再発は認めていない。しかしながら,これまでに再発例や悪性化の報告もあるため,外科的切除に際しては十分な注意が必要であり,術後の経過観察も重要であると思われた。
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