抄録
2002年4月から2015年3月までの13年間に当科で初回治療を行った耳下腺癌症例35例について検討を行った。内訳は男性25例,女性10例で,年齢中央値は65歳(31~84歳)であった。T分類は,T1:3例,T2:7例,T3:7例,T4:18例であり,N分類に関しては,N0:20例,N1:6例,N2:9例であった。病理組織型は11種類であり,腺房細胞癌が6例と最多であった。
5年粗生存率は52.6%であった。単変量解析ではリンパ節転移,悪性度,顔面神経切除,血管・リンパ管浸潤,神経周囲浸潤が有意な予後因子であった。さらなる予後改善のためには,予後不良因子を有する症例での術後放射線治療を検討する必要があると考えられた。