2018 年 27 巻 3 号 p. 335-339
気道緊急を要した喉頭蓋脂肪腫の1例を経験した。症例は56歳女性で主訴は約1年前からの咽喉頭異常感症であった。来院時気道狭窄症状を呈していたが,体位を工夫し,腫瘍を一時的に牽引することで気管切開術を施行することなく経鼻的に気道確保を行い,全身麻酔下に経口的切除が可能であった。摘出検体の病理検査により脂肪腫の最終診断となった。
咽喉頭腔原発の脂肪腫はまれな良性腫瘍性疾患であるが,時として気道緊急をきたす。大きな腫瘍であっても,気道確保の際に腫瘍基部の局在に対応した手技を工夫することで気管切開術を回避しうると考えられた。