頭頸部外科
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症例
術前に左声帯麻痺を認めた右非反回下喉頭神経を伴う甲状腺癌の1例
林 崇明中屋 宗雄伊東 明子木田 渉
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2019 年 29 巻 2 号 p. 203-207

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抄録
甲状腺および副甲状腺の手術において反回神経の処理は重要であり,手術による神経損傷を防ぐためにも,その走行を熟知しておく必要がある。しかし,反回神経の走行にはいくつかの亜型があり,非反回下喉頭神経(non-recurrent inferior laryngeal nerve:NRILN)は必ず知っておかなければならない亜型である。症例は52歳男性。嗄声を主訴に受診し,左反回神経麻痺を認め,エコー・細胞診・CT検査にて甲状腺乳頭癌両側頸部リンパ節転移の診断にて手術を行った。術中に右下喉頭神経は迷走神経より直接分岐し喉頭に流入していたのを確認した。CT検査では右鎖骨下動脈起始異常を認め,NRILNが示唆された。血管分岐形態の異常がある際にはNRILNの存在を念頭に置き慎重に手術操作を行うべきである。
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© 2019 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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