頭頸部外科
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症例
外頸動脈の走行異常を伴った耳下腺多形腺腫の1手術症例
宮島 玲子松木 崇清野 由輩石井 豊太山下 拓
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2020 年 30 巻 2 号 p. 223-227

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抄録

外頸動脈が顎二腹筋の浅層を走行していた耳下腺多形腺腫の手術例を経験したので報告する。症例は39歳女性。右耳下腺多形腺腫の診断で手術を施行した。顎二腹筋の検索中に,同筋肉の浅層を走行する外頸動脈を認めた。同血管は温存し,腫瘍は合併症なく予定通り切除できた。外頸動脈の走行はⅠからⅣ型に分類されるが本症例はⅣ型に相当し,その出現頻度は0.25%と極めて低い。耳下腺手術では一般的に顎二腹筋浅層に温存すべき神経や血管は存在しないとされ,この走行異常は稀であるが大量出血や止血操作による顔面神経損傷などの重篤な合併症をきたす可能性がある。術前画像検査で主要血管の走行へ配慮することが望ましいと考えた。

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