抄録
喉頭軟骨肉腫は喉頭原発悪性腫瘍の1%以下と稀な腫瘍である。喉頭を温存し摘出した輪状軟骨原発の喉頭軟骨肉腫症例を報告する。
50代男性,他院にて喉頭軟骨腫疑いとして6年間経過観察中,腫瘍の緩徐な増大傾向と声門下狭窄をきたし,当院紹介となった。輪状軟骨後壁に存在する腫瘍を,喉頭截開を行い明視下に置いた。腫瘍を摘出後,喉頭枠組み構造が保たれていたため喉頭を温存した。病理組織検査では軟骨肉腫GradeⅠの診断であった。現在外来にて経過観察中であり,術後2年経過時点で明らかな再発を認めていない。
喉頭軟骨肉腫では腫瘍の伸展範囲,増大傾向を考慮し,可能であれば喉頭温存術式を選択すべきである。