頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
ISSN-L : 1349-581X
症例
頸部に発症した腫瘍状石灰沈着症 (tumoral calcinosis) の1例
工藤 玲子阿部 尚央三國谷 由貴工藤 直美松原 篤
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 30 巻 3 号 p. 385-389

詳細
抄録

血液透析患者の頸部に発生したtumoral calcinosis(腫瘍状石灰沈着症)の1例を経験した。症例は48歳,女性。13年前に痛風を発症し,腎機能障害のため4年前より血液透析を行っていた。初診の6か月ほど前より増大傾向のある右頸部腫瘤を自覚し,上肢のしびれや挙上制限が続発した。画像上は著明な石灰化を呈しており,神経症状の改善を目的に摘出術を施行した。術後速やかに症状は改善し,病理検査で石灰沈着と異物型巨細胞性肉芽腫の所見がみられ,腫瘍状石灰沈着症の診断となった。頸部のtumoral calcinosisは稀な疾患であるが,石灰化を伴う頸部腫瘤の鑑別診断として考慮する必要がある。

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top