2023 年 33 巻 1 号 p. 29-32
下咽頭梨状陥凹ろうは化膿性甲状腺炎を引き起こす希少な先天性奇形である。甲状腺組織とともに瘻管の完全摘出する方法がこれまでに用いられてきた。近年,内視鏡下電気焼灼術が下咽頭梨状陥凹ろうに対する低侵襲の治療として報告されている。本報告は,当科で治療した下咽頭梨状陥凹ろうの14症例を後方視野的に検討したものである。術後経過は全例で反回神経麻痺などなく良好であった。初回治療での成功率は14例中13例・93%であった。内視鏡下電気焼灼術は下咽頭梨状陥凹ろうに対する低侵襲で,安全で効果的な治療法と思われた。