抄録
咽頭皮膚瘻(PCF)は喉頭全摘出術後に遭遇する術後早期合併症のひとつである。2007年1月から2021年12月までの間に当科において喉頭癌に対して喉頭全摘出術を行った60例中,PCFをきたした症例の臨床的特徴について検討を行った。PCFを7例(12%)に認め,その中の4例(7%)が根治照射後の救済手術例であった。救済手術例においてはPCFの発現時期が遅くなるとともに,閉鎖にも長期間を要していた。術前の好中球・リンパ球比(NLR)が3以上の症例においては有意にPCFの発生が増加していた。根治照射後の喉頭全摘出術例においては,NLRがPCFの予測因子として有用である可能性が示唆された。