褶曲について高等学校理科「地学基礎」と「地学」の教科書に示されている背斜と向斜の説明は不正確である.現行の教科書では,地層が上方に凸に曲がった部分を背斜,下方に凸に曲がった部分を向斜などと説明されている.しかし実際には,地層が上方に凸に曲がった部分が背斜とは限らず,下方に凸に曲がった部分が向斜とも限らない.背斜と向斜の認定では,褶曲両翼における地層の層序的な上位方向がポイントになる.高等学校教科書で扱う褶曲の模式図に地層の上位方向を矢印等で示すとともに,「背斜は地層の上位方向が発散する部分」,「向斜は地層の上位方向が収束する部分」と説明すればよい.