抄録
内視鏡を用いて外耳道から操作するTEESが普及し,令和4年度には経外耳道的内視鏡下鼓室形成術が保険収載された。TEESは耳後切開が不要な低侵襲手術であり,さらには広角な視野を持つ内視鏡を対象に接近させることで,死角の少ない拡大した術野を得ることができる。しかしながらTEESはkeyhole surgeryかつone-handed surgeryであるため,専用の手術器具を用いた新たな手術手技を習得することで安全・確実なTEESを行うことができる。さらに真珠腫では,MRIによる術前評価を行うことで,進展範囲に合わせてTEESと耳後切開手術を使い分ける「個別化医療」が可能となる。