抄録
近年,頸部郭清は選択的に施行される傾向にある。そこで,喉頭癌における適正な頸部郭清の範囲を知るため,過去に根治的または保存的頸部郭清を施行した喉頭癌患者30例を対象とし,それらの術後病理検査にて転移陽性であったリンパ節部位,及び,後発転移をきたしたリンパ節部位を調査し,文献的考察を加え検討した。その結果,声門癌NOであれば基本的には単純喉摘のみで頸部郭清は必要ない。ただし,T3,T4症例では術中迅速病理診断を用いた方が安全である。声門上癌NOであれば両側の肩甲舌骨筋上頸部郭清,喉頭癌N1では両側の内深頸部郭清,喉頭癌N2では古典的な根治的あるいは保存的頸部郭清が必要であると結論した。