抄録
canal down法による真珠腫病変の摘出の後,乳突腔・外耳道後壁を再建した症例の二期手術について検討した。対象は53例で,再手術では真珠腫遺残の検索のため27例で再建外耳道後壁は全摘出された。他は外耳道深部と上鼓室外側壁の再建材料の摘出で対応可能であった。同部位の再建は軟骨片で行っており,再摘出は容易であった。再手術で37例で再び乳突腔・外耳道再建を行うことができたが,16例では乳突腔の病変が高度のため充填術が行われた。再々建された外耳道は2例で小範囲の骨吸収が生じ,鼓膜の異常所見は10例でみられたが,再々手術や頻回の外来処置を要する例はなかった。再手術後の聴力改善成功率はI型100%,III型60%,IV型30%であった。