抄録
頭頸部外科でよく用いられる有茎皮弁には,DP皮弁,大胸筋皮弁,広背筋皮弁がある。1970年代に大胸筋皮弁による再建が報告されて以来,頭頸部の再建外科は飛躍的に進歩した。近年遊離皮弁が多く用いられるようになったものの,有茎皮弁のほうが有用である場合が少なくない。有茎皮弁の利点として,血管吻合を必要としないこと,全身状態あるいは局所の状態が悪い症例でも用いることができること,他科の協力を必要としないこと,隣接した部位から再建材料が採取されることなどが挙げられる。大胸筋皮弁,広背筋皮弁,DP皮弁について,その皮弁壊死に対する対策を中心に検討した。すなわちそれぞれの皮弁に対して,皮弁の選択,皮弁のデザイン,皮弁採取法,術後管理,壊死に陥ったときの対応について述べた。