頭頸部外科
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上口唇動静脈奇形症例の検討
澤津橋 基広伊澤 秀身高木 誠治井之口 昭
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2003 年 13 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
 口唇に発生する動静脈奇形(AVM)は稀な疾患である。その診断には視診,触診が重要で,画像評価では血管造影,MRIが有効である。治療法は大きく分けて,塞栓療法,硬化療法,外科手術の3つがあり,美容的,機能的に問題なければ根治的治療として手術療法が望ましい。今回我々は,塞栓療法後に外科的摘出術を行い,経過良好な上口唇AVMを経験:したので,若干の文献的考察を加えて報告する。症例は44歳男性。上口唇正中部粘膜下に3cm×1.5cmの比較的柔らかい拍動性腫瘤を触知した。MRIではT1強調画像T2強調画像ともに無信号の1塊となった構造物flowvoidを認め,AVMが考えられた。まず,右大腿動脈経由で血管造影を行い,AVMを確認し,同時にGelfoamとIvalonによる塞栓術施行した。7日後,Nd-YAGlaserを用いAVM摘出術施行し,病理組織学的にもAVMの診断を得た。術後経過良好で,現在外来経過観察中である。
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© 日本頭頸部外科学会
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