頭頸部外科
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鼻腔内に生じた神経鞘腫の一例
金子 富美恵篠 昭男吉原 俊雄
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2003 年 13 巻 1 号 p. 7-11

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抄録
 神経鞘腫は頭頸部領域ではしばしば見られる腫瘍であるが,鼻副鼻腔に認めることは稀である。我々は左鼻腔内に生じた神経鞘腫の一例を経験:したので文献的考察を加え報告する。症例:48歳,男性。主訴:左鼻汁・頭痛。既往歴:鼻アレルギー。現病歴:平成9年より左鼻汁,平成12年2月より左鼻出血,4月より頭痛が出現。5月当科初診時左中鼻道にポリープ様腫瘤を認め,CT上腫瘤は左鼻腔を占拠し左上顎洞内側壁・鼻中隔を圧排していた。生検では炎症性肉芽であった。6月8日全身麻酔下に内視鏡下摘出術を施行した。腫瘤表面のポリープ様粘膜を鉗除後,充実性黄白色の腫瘤を認めた。中甲介は圧排され萎縮,後篩骨蜂巣開放部より分泌物が見られた。術後標本の病理検査でANTONI A型,S-100蛋白陽性の神経鞘腫と確定した。術後経過は良好で,鼻汁・頭痛は改善し,現在に至るまで再発は認められていない。
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