頭頸部外科
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下咽頭癌術後の移植遊離空腸に難治性多発潰瘍を形成した一例
道津 充川田 晃弘大里 康雄奥 竜太崎浜 教之小室 哲田丸 直江林 徳眞吉高橋 晴雄
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2004 年 14 巻 1 号 p. 105-108

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抄録

 成人の多くは,サイトメガロウイルスに不顕性感染しており,成人におけるサイトメガロウイルス腸炎は,悪性腫瘍や臓器移植後など免疫不全者に生じる。今回我々は,下咽頭癌術後に,移植遊離空腸に限局したサイトメガロウイルス腸炎による多発性難治性潰瘍を形成した一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。症例は68歳男性。平成6年1月28日喉頭癌声門型(T2N0M0)にて喉頭全摘出術後のfollow中,平成13年7月より嚥下障害出現し,下咽頭癌の診断にて平成13年8月15日下咽頭頸部食道摘出術,両側頸部郭清術,遊離空腸による食道再建術施行し,術後照射としてLinac 61Gy追加した。同年12月より吐血が持続し,内視鏡下に移植遊離空腸に限局した全周性の潰瘍性病変を認めた。局所再発もなく移植空腸よりの生検にて,サイトメガロウイルス感染症の診断であった。

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