頭頸部外科
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声帯内脂肪注入術の適応と限界
梅野 博仁白水 英貴千年 俊一佐藤 公則中島 格
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2004 年 14 巻 1 号 p. 53-58

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抄録
 一側声帯麻痺52症例に対して声帯内脂肪注入術を行った。脂肪は脂肪吸引法で採取し,注入は直達喉頭鏡下にラリンゴ用注入針で行った。術後3年を経過した症例や,術前発声時の声帯突起間に間隙を認めた症例でも,脂肪を披裂軟骨楕円窩にめがけて注入し,披裂軟骨を内方に移動させることで,最長発声持続時間・平均呼気流率・基本周期変動率,最大振幅変動率・規格化雑音エネルギーの有意な改善を認めた。両側声帯突起間距離が声帯膜様部長の10%以上・最長発声持続時間が3秒未満・平均呼気流率が400ml/sec以上,の症例であっても本術式のよい適応であった。しかし,術前の発声時に両側声帯に上下間の間隙を有する症例は適応がないと考えられた。
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