2005 年 15 巻 1 号 p. 39-43
眼窩壁骨折に対する内視鏡下鼻内的あるいは経上顎洞的整復術について,特に鼻内法を中心に報告する。内側壁骨折に対しては鼻内法を,また下壁骨折に対しては病態に応じて鼻内法あるいは経上顎洞法を選択する。いずれも手術の要点は,1)骨折片と眼窩内組織との絞扼・癒着部を完全に解離させ,円滑な眼球運動を再獲得させることと,2)副鼻腔に逸脱した眼窩組織を眼窩内へと押し戻し適切に固定することである。硬性内視鏡を使用することで,術野が様々な方向から拡大明視下に観察され,また術野も広いという利点がある。一方,経眼窩的手術と比較して下壁骨の再建が難しく,将来的に眼球陥凹が生じないよう手術時には十分な注意が必要である。