化学放射線療法後の再発喉頭癌症例に,喉頭摘出の後,回盲部パッチ法による音声再建を行った。本法は,喉頭摘出後の食道開窓部に回盲部の結腸側をパッチするように縫合し,回腸を気管と端々吻合することで気管食道の間にシャントを作成し,回盲弁を逆流防止弁として使用すると同時に声帯としても利用する方法である。この方法は化学放射線療法後の喉頭摘出症例に対し,局所の血流を補完できると同時に音声再建を施行でき,術式は簡便で複雑な組織形成は不要であるという利点がある。欠点としては開腹操作が必要で,それに伴う合併症の危険が皆無ではないことである。音声再建希望の有無,年齢,癌の進展度等により適応を決定して施行すれば術後のQOLの改善に希望を与える術式のひとつと思われる。