抄録
1991年4月から2008年5月までの約17年間に当科で入院加療を行った耳下腺腫瘍212例について検討した。性別,年齢,組織型,病期分類,術式を提示し,治療法について考察した。また,穿刺吸引細胞診の有用性を検討し,術前診断に穿刺吸引細胞診は有効であるが,偽陰性例もあることから,臨床症状,画像所見,術中迅速病理組織診なども合わせて総合的に判断する必要があると思われた。耳下腺癌は17例を認め,その5年生存率は63.0%であった。予後不良例を検討すると,耳下腺癌患者における予後因子としては,病期,悪性度,術前遠隔転移,術前顔面神経麻痺が重要であると考えられた。