抄録
顔面神経(顔神)移植手術は側頭骨外,側頭骨内,頭蓋内の各経路で生じた外傷,腫瘍侵襲,手術時損傷などによる神経欠損が大で,断端同士の直接縫合が出来ない場合に行なわれる。 手術を成功させるには顕微鏡,微細摂子・剪刀・持針器などの微妙な取扱いに馴れておく(動物実習が必須)。開創して術野に神経欠損とその両端を確認し,頸皮神経叢その他から採取した神経片を整合させて縫合する。通常手術顕微鏡下に10-0糸で神経周膜縫合が行なわれる。神経上膜縫合でも相当良い成績が得られる。神経断端同士が丁度接着するように縫合し,fibrin glueを滴下して補強する。側頭骨内顔面神経管は固定副子の役を果たす。