頭頸部外科
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耳下腺粘表皮腫の診断・治療上の問題点
鈴木 晴彦江畑 康哉三浦 巧遊座 潤日野 剛沼田 勉今野 昭義金子 敏郎長尾 孝一
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1995 年 5 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

 10年間に耳下腺腫瘍268例中粘表皮腫8例3.0%を経験した。顔面神経麻痺と疼痛は1例ずつに,周囲との癒着は全例に見られた。超音波検査では,7例中6例が悪性型,1例は中間型であり,中には悪性度を類推できるものがあった。細胞診では6例中5例が悪性と診断できたが,組織型までの正診は2例であった。手術は,全例耳下腺全摘出と周囲の癒着部位を含めた切除を行った。リンパ節の認められた5例に上頸部リンパ節郭清を行い,2例が転移陽性であった。術後照射は4例に行った。予後はhigh grade malignancyの1例が局所再発死,他は全例非担癌生存している。我々は新しい悪性度分類を提示し,悪性度より,治療態度をかえるべきであると考えた。

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