1995 年 5 巻 2 号 p. 95-102
当教室で20年間に根治治療を施行した新鮮舌癌143症例の実測3年生存率は79.7%であり,その内訳はstage I:94.1%,II:88.9%,III1:85.1%,IV:40.0%であった。これらの症例をもとに舌癌治療における頸部郭清術の意義,術式について検討を行った。N0症例では予防的頸部郭清術の意義は認められるが,原発巣から潜在的リンパ節転移の評価は困難であること,他方,舌を半分以上切除する場合は皮弁再建が必要であり,その場合吻合血管確保の意味からも保存的頸部郭清が必要と思われた。N+症例では原発巣と共にen bloc切除が必要であり,根治的頸部郭清が望ましいと考えられた。