頭頸部外科
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前腕皮弁症例における手の血行動態(第1報)
―橈骨動脈採取の影響―
飯田 由美子沼田 勉日野 剛今野 昭義鈴木 晴彦
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キーワード: 前腕皮弁, 血行動態
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1997 年 7 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

 橈骨動脈を栄養血管とする前腕皮弁は,頭頸部領域の再建材料として多用され,術前のAllentestが正常であれば,術後に手指の血行障害を生じないとされている。我々は術後1日から5年7か月の22症例を対象に両手示指の血圧を測定し,橈骨動脈採取後の側副血行動態について検討を加えた。皮弁採取側の示指では,健側と比較して有意な血圧低下がみられた。また術直後には20%を超える血圧低下が認められた症例もあるものの,術後経過に伴って健側との差は減少傾向にあり,前腕皮弁は手の血行動態に関して危険の少ない皮弁であると考えられた。示指血圧の測定は,橈骨動脈血流遮断後の側副血行動態を推察する上で有用であると思われた。

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