頭頸部外科
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7 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 高橋 光明, 高原 幹, 松井 玲子, 安達 俊秀, 熊井 恵美, 柳内 統, 林 浩
    1997 年 7 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     副耳下腺に発症する腫瘍は稀であるが,今まで2症例を外科的に治療した。手術の際には,ステノン管と顔面神経の処置が問題となる。症例1(62歳,男,多形腺腫内癌)は急速に増大する左頬部の硬い,境界不明瞭な腫瘤(直径約5cm大)を主訴に来院した。手術は経耳下腺的にアプローチし,腫瘍をステノン管と周囲組織を含めて摘出した。症例2(51歳,男,多形腺腫)は右頬部の弾性硬の境界明瞭な腫瘤(直径約3cm大)で来院した。手術は頬部皮弁を挙上して,顕微鏡下にステノン管を保存して腫瘍を摘出した。2症例とも術後再発はない。以上の臨床経験を踏まえて,副耳下腺腫瘍の診断法,手術法について検討した。
  • 古川 政樹, 古川 まどか, 松田 秀樹, 河合 敏, 斉藤 裕子, 香取 秀明, 稲葉 鋭, 山岡 秀之, 佃 守
    1997 年 7 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     今回われわれは,23歳女性の副咽頭間隙に進展する巨大な咽頭嚢胞例を経験した。術前の画像診断および細胞診から良性の嚢胞性疾患が考えられたため,嚢胞壁の一部を切除し,嚢胞を咽頭腔に開放し,嚢胞壁断端と粘膜上皮を全周にわたり縫合する造袋術を顕微鏡下に施行した。 術後20か月経過した現在,開口部は縮小したものの閉鎖することはなく,嚢胞の内部には貯留液はみられない。また,嚥下障害,構音障害など術後合併症状もなく,術式の選択は適切であったと思われるが,今後も経過観察を継続する必要がある。手術法の詳細について述べるとともに,本症例における画像診断の有用性について述べた。
  • 今手 祐二, 遠藤 史郎, 大上 研二, 高橋 正紘
    1997 年 7 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     遊離皮弁の多用や術後のQOL重視は近年保存的頸部郭清を増加させてきた。特に両頸部郭清後の内頚静脈開存の有無は生命予後に影響する可能性があるため重要である。今回我々は保存的頚部郭清(両側同時あるいは一側のみ)を行った28症例に対し術後1カ月以上経過した時点でエコー検査を実施し,内頚静脈開存の有無を調べた。結果は閉塞例1例,狭窄例2例,内頚静脈開存率は96%であった。内頚静脈閉塞は術後の重篤な合併症が原因と考えられたが,狭窄例の原因や経過について今後さらに検討する必要がある。
  • ―橈骨動脈採取の影響―
    飯田 由美子, 沼田 勉, 日野 剛, 今野 昭義, 鈴木 晴彦
    1997 年 7 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     橈骨動脈を栄養血管とする前腕皮弁は,頭頸部領域の再建材料として多用され,術前のAllentestが正常であれば,術後に手指の血行障害を生じないとされている。我々は術後1日から5年7か月の22症例を対象に両手示指の血圧を測定し,橈骨動脈採取後の側副血行動態について検討を加えた。皮弁採取側の示指では,健側と比較して有意な血圧低下がみられた。また術直後には20%を超える血圧低下が認められた症例もあるものの,術後経過に伴って健側との差は減少傾向にあり,前腕皮弁は手の血行動態に関して危険の少ない皮弁であると考えられた。示指血圧の測定は,橈骨動脈血流遮断後の側副血行動態を推察する上で有用であると思われた。
  • 田渕 経司, 原 晃, 長田 道夫, 立原 成久, 佐藤 重規, 辻 茂希, 木村 伸一, 国広 美樹, 芹澤 富士子, 瀬成田 雅光, 伊 ...
    1997 年 7 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     中耳原発の腫瘍は比較的稀であり,なかでも中耳原発のadenomatoustumorの報告例は少ない。本疾患は良性および悪性の鑑別において組織型と臨床像の不一致性が指摘されており,放射線照射の適応についても未だ明確な指針はなく,その治療については症例ごとに対応していく必要があると考えられる。今回著者らは病理組織学的に中耳腺癌と診断された17歳女性及び43歳男性のadenomatous tumorの2症例を経験した。いずれも中耳内限局例であり手術的治療のみを施行した。2症例中1例には術後局所再発を認め,又本疾患は術後局所再発の報告もあり,長期間の経過観察が必要と考えられた。
  • 村上 匡孝, 福島 龍之, 安田 範夫, 大西 弘剛, 高木 伸夫
    1997 年 7 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     アテロコラーゲン真皮欠損用グラフトは皮膚粘膜欠損部の患者自身の細胞侵入による真皮用組織構築を促し,手術創の皮膚粘膜欠損の修復に効能がある。コラーゲン部分のみを中耳手術に使用した経験を報告した。外耳道皮膚欠損部(骨露:出部)の上皮化促進を目的に用いた外耳道真珠腫・中耳根本術後のcavity problem・真珠腫の乳突充填型一期的鼓室型成術例では良好な結果を得た。乳突腔や皮下組織の死腔充填の目的で用いた例の中に術後感染を生じた例があった。コラーゲングララトを中耳手術に使用する場合は,開放創で非感染創であることが必要で,感染の制御が重要であると思われた。皮下結合織を伴った上皮化は早く有用と思われた。
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