副耳下腺に発症する腫瘍は稀であるが,今まで2症例を外科的に治療した。手術の際には,ステノン管と顔面神経の処置が問題となる。症例1(62歳,男,多形腺腫内癌)は急速に増大する左頬部の硬い,境界不明瞭な腫瘤(直径約5cm大)を主訴に来院した。手術は経耳下腺的にアプローチし,腫瘍をステノン管と周囲組織を含めて摘出した。症例2(51歳,男,多形腺腫)は右頬部の弾性硬の境界明瞭な腫瘤(直径約3cm大)で来院した。手術は頬部皮弁を挙上して,顕微鏡下にステノン管を保存して腫瘍を摘出した。2症例とも術後再発はない。以上の臨床経験を踏まえて,副耳下腺腫瘍の診断法,手術法について検討した。
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