園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
原著論文(英文)
レーザードップラー法によるセイヨウナシ‘ラ・フランス’果実熟度の非破壊測定
村山 秀樹今野 一朗寺崎 章二山本 良一桜井 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 75 巻 1 号 p. 79-84

詳細
抄録

レーザードップラー振動計(LDV)を用いて,セイヨウナシ‘ラ・フランス’果実の追熟中に弾性率を測定した.果実は1999年に 3 回採取し,それぞれ収穫後ただちに20℃で追熟を行った.収穫適期に採取した果実の一部は 1℃で貯蔵し,2 週間,1 か月,2 か月あるいは 4 か月後20℃に移し追熟を行った.早期収穫果において,収穫時の弾性率は 36.4 × 105 Hz2·g2/3 であり,追熟に伴い低下した.適期収穫果では,弾性率が 2 段階の減少パターンを示した.他方,晩期収穫果では,追熟に伴い弾性率が指数関数的に低下した.貯蔵中に弾性率は低下し,貯蔵期間によって弾性率の減少パターンが変化した.すなわち,適期に収穫し 1℃で 2 週間貯蔵した果実では,弾性率が 2 段階の減少パターン示した.1 か月間あるいは 2 か月間貯蔵した果実では,追熟中に弾性率が指数関数的に低下した.他方,4 か月間貯蔵した果実では,追熟開始時の弾性率が最も小さく(4.3 × 10 5 Hz2·g2/3),追熟中の変化も小さかった.収穫日あるいは貯蔵期間の違いにかかわらず,レオメーターで測定した果実硬度と弾性率との間には高い相関関係が認められた.ただし,4 か月間貯蔵した果実での相関は低かった.これらの結果より,セイヨウナシ‘ラ・フランス’では,収穫適期に採取し低温貯蔵期間が短い果実では,追熟中の弾性率が 2 段階の減少パターン示すこと,また,LDV による果実硬度の非破壊測定が可能であることが判明した.

著者関連情報
© 2006 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top