2006 年 75 巻 6 号 p. 439-444
着果量の異なるブドウ‘安芸クイーン’(Vitis labrusca L. × V. vinifera L.) 樹において主幹への環状はく皮処理が果実品質および根の伸長に及ぼす影響について調査した.少着果のはく皮処理区では,多着果のはく皮無処理区に比べ,果皮のアントシアニン含量が大きく上昇した.加えて,少着果のはく皮処理区では,果実糖度が他のいずれの区よりも高くなった.酸含量は処理の影響を受けなかった.一方,着果の多少にかかわらず,はく皮処理は新根の発生を約 2 週間停止させた.根の伸長は着果量の影響を強く受け,はく皮部がゆ合した後の新根の伸長は,少着果で旺盛であった.以上より,着果量が少ない場合,環状はく皮は果実品質を大きく向上させ,また,根の伸長量が大きいことが明らかとなった.