園芸学会雑誌
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枳殼種子の實生に關する試驗
佐宗 久雄
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1939 年 10 巻 1 号 p. 66-72

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抄録

柑橘砧木養成上の參考に資すべく, 神奈川縣立農事試驗場園藝部に於て枳殼種子の實生に關する2, 3の試驗を行つた。其成績の概要は次の通りである。
1. 枳殼種子の發芽期は3月上旬までに播種した場合には播種期による差は殆んど無かつたが然し何れも4月中旬以後に播種したものより早かつた。又發芽は概して1月中旬以後に播種したものが齊一であつた。
2. 枳殼種子の發芽歩合や實生の發育は播種期による差は明瞭でなかつた。
3. 枳殼の大粒種子は小粒種子に比して發芽歩合よく又發芽期も早かつたが, 發芽の齊一さや, 實生の發育は中粒種子と殆んど差がなく共に小粒種子よりも明かに良好であつた。
4. 枳殼種子は多胚であるが, 1種子から1本の實生を生ずるものが最も多かつた。
5. 枳殼種子はなるべく春播とし, 種子は充實した中粒以上のものを用ふるのが實際的には安全且つ有利であらう。

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