園芸学会雑誌
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華北棗品種の研究 (II)
曲 澤洲
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1943 年 14 巻 3 号 p. 161-174

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抄録

1. 中國の古代農書に依ると中國に於ては少なくとも3,000年以前に已に棗の栽培がなされて居たことが記載されて居る。此等古籍中に記載されて居る棗の品種は100餘種に達し,近代の文献中に記載されて居る棗の品種も300~400種の多きに及んで居る。
2. 現在華北一帶に栽培されて居る棗は Zizyphus jujuba, MILL. 種に屬し, 其多くは高度500m以下の山地或は原野中に分布して居る。其等棗の品種數に關しては未だ確實な統計なく, 文献に記載されて居るものも全國的に統一された調査を缺き, 其の爲に多數の同名異物或は異名同物のものが存在する状態である。此の品種の決定の爲には古籍中の品種記載方法を研究すると共に新らしい品種記載方法を設定し,一方充分な調査により品種の特性,長短を明らかにし統一された分類をなすことが必要である。
3. 古籍中棗に關し最も古い記載のあるのは爾稚である。植物名實圖考中には棗の78種が記載されてる。此の古籍中の品種の記載及命名法の多くは果實の形状, 色彩,風味及核等に依るものである。近代の文献中にもも棗に關するものがあるが棗の性質の全般に亙つたものは極めて少ない。
4. 他種重要果樹の記載方法に準據して, 果形により8種に, 果頂形により4種に又核形により5種に其他葉, 花, 枝及び樹全般に亙つて分類した棗の特性記載方法を製作した。
5. 棗結果枝基部2~3節の葉の大小は全葉の平均値を近似する故に結果枝基部2~3節の葉を取つて棗の標準葉とした。
6. 上記特性記載方法により北京近郊にて調査採集せる40餘種の棗 19品種に分類した。其の中生食用のものは郎家園棗, 白棗, 纓絡棗及牙棗等, 加工用のものは晒棗なることを認めた。
7. 調査結果に基き各品種を果の大小, 果頂の形状, 果形及核の性質等に依り分類し棗品種の檢索表を製作した。

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