園芸学会雑誌
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柿樹の養分吸収量について (第1報)
佐藤 公一石原 正義
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1953 年 22 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

1. 昭和24年興津において9年生柿樹 (次郎) の解体調査を行い各部の全重量及び新成量を測定し, 且つ各部についてN, P2O5, K2O の3成分の分析を行い, 反当養分吸収量の算出を行つた。そして枝幹及び根部については, 皮, 材両部を新旧に分ち其の新成量を実測した。
2. 各部の乾物重は, 葉3.96kg, 果実5.06kg, 1年生枝1.13kg, 枝幹13.29kg, 根部10.56kg, 細根0.59kg, 計34.59kgであつた。そして新成量は, 枝幹及び根部では夫々4.19kg, 3.11kgであり之に果実, 葉, 1年生枝, 細根の全量(新成量)を加え計18.04kgである。
3. 全重量に対し新成量は52%を示し又, 新成量中葉, 果実, 1年生枝, 細根の合計は約6割を占めている。
4 各部の分析成績はN, P2O5, K2O共に1年生枝が最も高い値を示し, 根部では大根が低く, 細い根が高い傾向を示した。果実の分析では何れの部分もNに比しK2Oの含量が高かつた。
5. 1樹中に含有される肥料成分の全量はN 323.33g, P2O5 96.40g, K2O 251.39gで, その中新成部に含有される量はN 213.63g, P2O5 57.61g, K2O 183.15gであつた。葉, 果実, 1年生枝, 細根中の全量は新成部全量に対しNは7割, P2O5は6.2割, K2Oは7.9割を占めていた。
6. 新成部中に含有される肥料成分を吸収量と見做し反当40本植, 反当収量380貫として反当吸収量を算出するとN 8.55kg(2.28貫), P2O5 2.30kg(0.61貫), K2O 7.33kg(1.95貫)となる。

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