抄録
1. 玉葱品種の早晩生を明らかにしようとして, 1951年秋播 (長野360m), 春播 (菅平1250m)で, 本邦11品種, 米国10品種について, 日長, 温度, 植物体の大きさ等を変えて追及した。
2. 10~12時間の短日適温下で, 植物体が大きい場合にも, 極早生種の愛知白は肥大が行われたが, 泉州黄, 札幌黄は植物体は極めて大ぎくなつても, 肥大しなかつた。
3. 秋播し, 春季上昇気温期に於いて日長を異にした場合, 品種の肥大は, 自然日長, 長日共に極早生種の愛知白, 貝塚極早生等に於いては, 理論肥大日長を経過しているにもかかわらず肥大がみられなかつた。
4. 16時間の長日処理により, 自然日長より中晩生種は極めて肥大が早まり, 倒伏はすべての品種共顕著に促進され, 自然日長下で倒伏しなかつた品種も完全な倒伏が行われた。
5. 13時間の短日高温下では, 13時間以内で肥大を行う早生種は, 長日, 自然日長下よりも, 高温のため更に肥大倒伏は早まつた。しかし, 13時間以上を必要とする晩生種は, 高温下でも肥大は促進されず, 完全な倒伏が行われなかつた。
6. 高冷地に異なる苗齢で同一長日下で栽培した結果は, 明らかに苗齢の大きい苗は肥大が早く始まる。その様相は, 晩生種程大きい苗齢にならなければ, 肥大が行われなかつた。
7. 以上の結果玉葱品種の早晩生には, 日長, 気温,苗齢が関与し, 肥大始, 倒伏時期等によつて知ることが出来る。早生種は気温と苗齢が肥大の第一次要因であり日長は肥大, 倒伏を助長する第二次要因である。
中晩生種は, 日長と苗齢が第一次要因で, 気温は肥大,倒伏を助長する第二次要素である。
倒伏は各品踵によつて異なり, その品種の肥大に必要な日長, 気温が充分与えられないと倒伏せず立枯れとなる。Bulb 形成を助長する長日, 高温は倒伏をも促進する。