抄録
カキの植傷み軽減の一手段としてカキの根にホルモン処理を行ない発根促進の効果を検討した。用いた材料は1年生ヤマガキ実生でホルモン処理の方法は浸漬法と土壌灌注法である。実験は降雨の影響と晩霜の害を避けるため無加温のガラス室内で行なつた。実験結果を要約すれば次の如くである。
1.ホルモン処理(浸漬法と土壌灌注法,以下同じ)は萠芽開始期ならびに展葉開始期には判然とした影響を与えなかつた。
2.ホルモン処理の新梢総長や葉の大きさに及ぼす影響は生育のごく初期の段階から認められた。
3.ホルモン処理は新根の発生数を多くし,新根の生成量を増加し,新梢の生育を促進した。
4.ホルモン処理は発根時期を早める傾向があつた。
5.浸漬法は土壌灌注法より効果的であつた。浸漬法の濃度については0.05%までは高いほど効果は大であつた。