園芸学会雑誌
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イチジク樹の肥料要素吸収量に関する研究
平井 重三中川 昌一南条 嘉泰平田 尚美
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1961 年 30 巻 3 号 p. 203-210

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抄録

1. 6年生イチジク,マスイ・ドーフィン2樹を掘り上げて解体調査し,全重量および新成量を測定し,各新成部のN, P2O5, K2O, CaOおよびMgO含量を求め,1樹ならびに10アール(約1反)当たり肥料要素吸収量を算出した。
2.各部の新成量(乾物重)は,2樹の平均で果実3.31kg,葉1.00kg,新梢0.40kg,枝幹(新梢を除く)0.80kg,根部(細根を除く)0.49kg,細根0.07kg,それらの合計は6.08kgであつた。その結果,1樹当たり総重量および新成部の重量を乾物重で示すと,それぞれ8.03kgおよび6.08kgであり,前者に対する後者の割合は75.7%となつた。
3.各新成部における各成分の含量をみるに,Nは葉および未成熟果実に,P2O5は中根および大根に, K2Oについては果実および中根,小根において,CaOおよびMgOは葉において,それぞれ最も高い割合を示した。また,新成皮部は新成材より各要素含量とも常に高くなつていた。
4. 1樹当たり新成部中に含まれる肥料要素吸収量はN70.0g, P2O5 20.3g, K2O 79.6g, CaO 104.5g, MgO 22.6gであつた。以上の結果を基礎にして10アール当たり100本植え(果実収量2696.35kg(719.03貫))として10アール当たりの肥料要素吸収量を算出すると,平均でNは7.00kg(10.0), P2O5は2.03kg (2.9), K2Oは7.96kg (11.3), CaOは10.45kg (14.9),MgOは2.26kg(3.2)となる。

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