抄録
1. 前年まで同じ肥培管理を施した二十世紀ナシ樹を砂耕し,萠芽期直前より細胞分裂停止期までの期間における窒素, りん酸, 加里のそれぞれの除が, 果肉細胞の分裂に及ぼす影響を調査した。その結果, 細胞分裂停止期における1果当たり果肉細胞数は, NPK区(標準区)100に対してNK区74, NP区80, PK区63でいずれの要素が除しても果肉細胞の分裂が劣つた。その傾向は, 窒素でもつとも強く, ついでりん酸, 加里の順であつた。
2. 別に細胞分裂停止期までは同じ肥培管理を施した樹について, その後の砂耕液中の窒素, りん酸および加里の濃度をそれぞれに変化させ, 果肉細胞の肥大に及ぼす影響を比較観察した。その結果, いずれの要素が欠除しても果肉細胞の肥大が劣り, その傾向は窒素においてもつとも強く, ついで加里, りん酸の順であつた。濃度の増大に伴なう細胞肥大への促進的効果は, 加里でもつともいちじるしく, ついで窒素, りん酸の順であつた。
本研究の実施ならびに本報告の取りまとめに当つては京大小林 章教授の御懇篤な御教示を賜わつた。記して深謝の意を表する。