園芸学会雑誌
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土壌空気中の酸素濃度がブドウデラウェアの生育ならびに養分吸収に及ぼす影響
施用窒素形態との関係について
岩崎 一男
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1965 年 34 巻 2 号 p. 101-104

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抄録
1. 1/2,000aワグナーポットに植えたブドウデラウェアの2年生未結実樹に, 窒素源として硫安 (NH4-N) および硝酸ソーダ (NO3-N) を施用し, 酸素濃度を20(空気), 15, 10, 5, 2および0%(窒素ガス)に調整通気し, 樹体生長および養分吸収に及ぼす影響を調査した。
2. 新梢伸長量および生体重はともにNH4-N区でまさつたが, O2 20%に対する比数でみると, 総じてNH4-N区の減少率が大であつた。とくに, O2 2%および0%でこの傾向が著しかつた。
3. 葉内N含量はNH4-N区のO2 2%および0%で急激に低下したのに対し, NO3-N区ではほとんど変化しなかつた。またPおよびKもNO3-N区では減少率が小さかつた。
4. 両窒素区の細根の呼吸量を, ワールブルグ検圧計を用いて酸素消費量からみるとNO3-N区でわずかに大であり, 酸素濃度の低下に伴なう減少の程度はNH4-N区で大であつた。
5. ワールブルグ検圧計のガラス容器内の酸素濃度を種々の程度に変え, さらに主室に0.1Mの硫酸アンモニウム溶液および硝酸ソーダを加えて, 細根の呼吸に及ぼす影響を調査した。その結果, 各酸素濃度とも, 硝酸ソーダ区の酸素吸収量ならびに炭酸ガス呼出量が大であつた。また, 酸素濃度の低下に伴なつて, 両区ともに酸素吸収量および炭酸ガス呼出量は減少し, その程度は硫酸アンモニア区で大であつた。呼吸商は酸素濃度の低下に伴なつて増大し, その程度はNH4-N区で大であつた。
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